福島第一原発事故で問題となっているヨウ素131(I-131)は身体の中に入ると首のところにある甲状腺に溜まります。下の写真は甲状腺にヨウ素131が溜まった様子を写真で撮ったものです。
図

ちなみに、この写真は原発事故での写真ではありません。甲状腺の病気の治療のために、ヨウ素131を投与した時の写真です。もうひとつ、セシウム137(Cs-137)も身体の中に入ると全身に分布してしまいます。ただ、こちらは尿から体外へ排泄されるのも早いことが知られています。
さて、最後に、原発事故後、たくさんの方々がマスクをされているのを見かけますね。内部被ばくを防ぐには重要なことです。ただ、放射性物質は通常のマスクではほとんど素通りしてしまいます。放射性物質の吸い込みを防ごうとすると、タオルなら4つ折にし、木綿のハンカチなら16折にして、水でぬらして固くしぼり、口や鼻を保護する必要があります。これは、結構、息苦しいです。
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遅くなりました。放射線の話の3回目です。今日は、放射性物質が身体の外側にある時の影響(これを外部被ばくといいます)について、書かせて頂きます。放射線は、電気によって作られる場合(病院で使われるレントゲン写真やCTなど)と今回の福島第一原発事故のように、放射性物質から出てくる場合とがあります。電気によって作られた放射線の場合には「外部被ばく」だけに注意を払えばよいのですが、放射性物質の場合には、身体の外にある時は「外部被ばく」に注意し、身体の中に入り込んだ時には「内部被ばく」に注意しなければなりません(下図を参照して下さい)。

「外部被ばく」を防ぐ方法は幾つかありますが、肝心なのは、放射線が出ているものと距離を取ることと、放射線が出ているものとの間に遮へい物を置いてやることです。距離を取るというのは、下の図のように、放射線は距離を2倍にしてやると放射線があたる量は4分の1になります。3倍ですと9分の1です。4倍ですと・・そう・・16分の1です。また、放射線はその種類によって遮へいできるものが違ってきます。福島第一原発事故で問題となっているヨウ素131(I-131)とセシウム137(Cs-137)の場合には、ベータ線とガンマ線という2種類の放射線を出します。ベータ線の場合には、コンクリートやプラスティックで止まってしまいますが、ガンマ線の場合には、鉛や鉄などの金属が必要になります。
最後に、放射線や原子力関係の講演で、よく「自然の中にある放射線は、身体に馴染んでいるから危険ではないが、今回の原発事故で出てきた放射線は、危険なんでしょ?」と尋ねられます。地球上にもともとある放射線(自然放射線)と人類が作り出した放射線(人工放射線)とは違いがありません。性質も同じで、危険性も同じです。
このコラムの責任者から、放射線の話を書いてよいとの許可を得ました。
ありがとうございました。
私は永らく放射線に携わっており、「知りたい!医療放射線」や「基礎医学・生物系の同位体実験」(いずれも慧文社刊)などの放射線に関する著書や本年3月21日に発売されたばかりの「改訂版放射線のABC」(日本アイソトープ協会編)の編集を担当しております。
また、これまでにIAEA(国際原子力機関)での講演など、80回以上の放射線に関する講演も行っています。
福島第一原発の事故が、原子力事故で最悪のレベル7(0~7までの8段階評価;国際原子力事象評価尺度)であることが発表されたのが、4月12日でした。
過去のチェルノブイリ事故と同じ程度になったことになりますが、実際に飛び散った放射性物質の量は10分の1以下ですので、過大評価だとの批判も聞かれます。
ですが、チェルノブイリ事故は25年前のできごとです。
技術が進んだ現在では今回の規模でも十分に世界的な影響が大きく、重大な事故であるという判断だと思います。
さて、このコラムでは、原子力発電所の構造や事故原因など難しい内容は省いて、福島第一原発事故が、私たちの身体によくないことをするのではないかという点に絞って書かせて頂きます。
今回は3つの項目に分けて解説させて頂きます。
(1)今回の事故とは関係なく、地球が誕生した時から、我々の身の周りにはたくさんの放射線が飛び交っていること(これを自然放射線といいます)、(2)放射性物質が身体の外側にある時の影響(これを外部被ばくといいます)、そして、(3)放射性物質が身体の中に入った時の影響(これを内部被ばくといいます)、です。
次回からこの3つの項目を写真や図を使って解説していきます。
この放射線コラムは短期間で連載します。
もし、原子力・放射線に関する質問などがある方は、デルタインターナショナルさんまでメールでお寄せ下さい。
