栁川かおり
医師/料理家
秋になると、ゆっくりとお茶を飲むことが増えてくる。夏の冷たいドリンクは冷蔵庫から出してすぐにごくごくっと飲み干してしまうから、あっという間。それが、温かいお茶になると、お湯を沸かしてお茶を蒸らして、飲めるくらいの適温になるまで待つ時間ができる。実は私、結構な猫舌なのです。その間は、何かをするほどの時間でもないけれど、何かをしないと長く感じる微妙な時間。そういう時間は、作ったレシピを書き留める時間になる。
お茶だけだと寂しいから、ちょこっとつまめるおやつもあるとうれしい。今日は枝付き干しぶどうを選んでみる。枝についているということは、しっかりと熟したぶどうを使っているから。甘さも味もしっかりと濃くて、それでいて実が柔らかいから、干しぶどうが苦手な私も大好きなのです。うっかり時間を過ぎてしまって、すこし濃いめになった紅茶にも、負けないくらいの干しぶどうの甘さ。むしろちょうどいいくらいだったかもね。
普段のレシピのメモは、食材と調味料の名前を書くだけで、作り方は頭の中。あとでPCできれいに書くときの覚書程度のもの。だけどこういう時間ができると、ちょっとした絵を添えたくなって、材料と工程のイラストも描いてみたりする。もともと絵は苦手だし、かわいい絵も描けないけれど、文字だけ、数字だけのメモ帳が、こんな適当な絵があるだけでも見違える気がするのです。お見せするのは恥ずかしくてできなくらいだけどね。
そんなことをしていたら、ちょっと一息のつもりが、だいぶゆっくりのティータイム。秋の時間がゆっくりと流れるようなこの空気。好きですね。
この「レーズンバターサンド」もそんな風にして出来上がったレシピ。
粒が大きくて存在感のあるレーズンと、ホワイトチョコを加えたほんのり甘いバタークリーム。さっくりとしたクッキーを一緒にサンドして、子供たちも喜ぶおやつができました。
2児のママ。出産を機に2011年より料理ブログを開始。シンプルな料理をより美味しく!をモットーに、まいにち食べても飽きないような「おうちごはん」を目指す。2012年日本テレビ系「ヒルナンデス!」内の史上最大の家庭料理コンテスト「レシピの女王シーズン2」にて優勝し、初のレシピ本を出版。
和食料理人である父の影響により、幼少から実家店舗で料理の基礎を学び、現在も料理家の仕事と両立して和食料理店に立ち腕をふるう。食に関する9つの資格を有しており、企業のレシピ開発やTVなどのメディアでも活躍中。トライアスロンの国内大会では年代別優勝するほどの実力で「食✕スポーツ」の普及活動も精力的に行っている。