栁川かおり
医師/料理家
お気に入りのケーキ屋さんがあった。
そのケーキ屋さんでデコレーションケーキを頼むのが、子供たちの誕生日の定番。軽くて甘すぎないホイップクリームも好きだったけど、なによりふわしゅわのスポンジがとっても美味しいのです。定番商品意外に季節ごとに変わるケーキも楽しみのひとつ。春はイチゴのショートケーキ、夏はごろごろのマンゴーがのったマンゴープリン、秋は甘さ控えめのモンブラン。そして、冬になるとさつまいもとりんごのタルト。だけどこの冬のタルトだけはまだ食べていなかったのです。いつか食べたいなぁと思っているうちに引越しをしてしまった。それからは何か他に理由がないと、なかなか近くまで行かないもので。ケーキ屋さんに行く頻度もぐっと減ってしまいました。
ここ最近、2回もお店に立ち寄る機会もあったけれど、なんとどちらもちょうど定休日にあたってしまった。なんてタイミング。あの冬のタルト、今も並んでいるのかなぁ。
そんなことを想像しながら、さつまいもとりんごを煮てみることにしました。
角切りにしたさつまいもとりんごにサルタナレーズンも入れて。全体にレモンを絞ったら、風味付けのシナモン。レーズンの甘さもあるからお砂糖はどうしようか少し悩む。レモンを入れ過ぎたから少しだけでも入れた方がいいのかも。りんごから出てくる水分だけでコトコトと煮込んで、水分がなくなる頃が出来上がりの目安。果汁でふっくらとしたレーズンが美味しそうな仕上がりに。
これでタルトを焼いてみようかと思っていたのに、子供たちから急にクレープのリクエストがやってきた。でも、クレープもおいしそうかもね。
焼いたクレープに、さつまいもとりんごとサルタナレーズンをのせたら、バニラアイスもおまけして。これはこれで、ちょっと贅沢な冬のクレープになった。
タルトは食べそびれてしまったけれど、これでまたケーキ屋さんに行く理由もできたかな。今度こそ、出会えますように。
2児のママ。出産を機に2011年より料理ブログを開始。シンプルな料理をより美味しく!をモットーに、まいにち食べても飽きないような「おうちごはん」を目指す。2012年日本テレビ系「ヒルナンデス!」内の史上最大の家庭料理コンテスト「レシピの女王シーズン2」にて優勝し、初のレシピ本を出版。
和食料理人である父の影響により、幼少から実家店舗で料理の基礎を学び、現在も料理家の仕事と両立して和食料理店に立ち腕をふるう。食に関する9つの資格を有しており、企業のレシピ開発やTVなどのメディアでも活躍中。トライアスロンの国内大会では年代別優勝するほどの実力で「食✕スポーツ」の普及活動も精力的に行っている。