栁川かおり
医師/料理家
毎年ひな祭りには、ちらし寿司を作ります。
子供たちが小さい頃は、ウズラの卵の顔と、薄焼き卵の着物で、ひな人形を作っていたけれど、いつの頃からかそれは卒業。見た目の珍しさよりも、しっかり華やかでしっかり美味しいものの方が喜んでくれるようになりました。
そんな少し大人になった子供たちへのひな祭りのちらし寿司。最近の定番は海鮮ばらちらし。鯛の白、マグロの赤、サーモンのピンクなど、いろんなお刺身でカラフルに作るのが華やか。でも、そろそろ毎年同じだなぁという気持ちも出てくるくらい歳を重ねました。今年は少しアレンジしてみようかなぁと、なんとなくSNSを眺めていたら、「肉ばらちらし」の文字。
魚ばかりがちらし寿司じゃないんだと、目からうろこ。今年はこれに決めました。
本当は、ローストビーフを作ろうか、それともステーキを焼こうか。なんて考えていたけれど、おいしそうなローストビーフを発見したので、買って帰ることに。
いつもの酢飯もいいけれど、ここはローストビーフに合わせて少し洋風で、お肉にも合うようにしたい。
そこで思いついたのが「ナッツ屋さんの素焼きミックスナッツ」。クルミにアーモンド、カシューナッツが香ばしい素焼きになったミックスナッツ。そのまま食べてもおいしいのはもちろん、素焼きなのでそのまま使えて、味付けをしていないので、お菓子作りや普段の料理にも使いやすいのです。このミックスナッツを砕いて、刻んで塩もみしたクレソン、塩少しとオリーブオイルで混ぜご飯に。これが、意外と私の中ではヒットで、これだけでおにぎりにしてもいいなぁなんて思うくらい。ナッツはあまりご飯と合わせるイメージがないかもしれないけれど、ナッツの食感とコクは意外とご飯に合うのです。
ベースのご飯ができたら、あとは盛り付けるだけ。ローストビーフに、我が家のお弁当の定番の甘い卵焼き。こそにアスパラや菜の花の春の野菜を入れて、彩りのチコリとレモンで華やかに飾る。そして仕上げにもう一度ミックスナッツを散らして出来上がり。添えたレモンと、少し酸味のあるローストビーフのたれをかけて、程よい酸味が酢飯代わりになる肉ばらちらしの完成です。
これは食べ盛りの我が家の子供たちには大好評。やっぱりお肉がうれしい年頃です。
毎年迎えるひな祭りも、こんなところで成長を感じたりするんですね。
2児のママ。出産を機に2011年より料理ブログを開始。シンプルな料理をより美味しく!をモットーに、まいにち食べても飽きないような「おうちごはん」を目指す。2012年日本テレビ系「ヒルナンデス!」内の史上最大の家庭料理コンテスト「レシピの女王シーズン2」にて優勝し、初のレシピ本を出版。
和食料理人である父の影響により、幼少から実家店舗で料理の基礎を学び、現在も料理家の仕事と両立して和食料理店に立ち腕をふるう。食に関する9つの資格を有しており、企業のレシピ開発やTVなどのメディアでも活躍中。トライアスロンの国内大会では年代別優勝するほどの実力で「食✕スポーツ」の普及活動も精力的に行っている。