第17回「夏のスポーツとアルコール」
高校野球に、世界陸上。テレビで放映されるスポーツだけでなく、
私たちには馴染みがないが、高度なレベルで一瞬を競っているスポーツが
世界中に溢れています。
また、高度ではなくても、夏のスポーツを楽しんでおられる方は
たくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
そして夏のスポーツ後の楽しみといえば、ビールなのかもしれません。
私自身は、スポーツの後は蜂蜜入りの暖かい紅茶なのですが・・絶対に変ですね。
このビールは、原料であるホップにたくさんのポリフェノールが含まれることから
抗酸化という観点から、スポーツ後に飲むアルコール飲料としては
望ましいと言われ続けて来ました。
一方で、アルコールの免疫機能に対する影響については、
長年、研究が続けられて来ました。
特に、スポーツをすることによってヒトの免疫機能は一時的に弱まります。
この状態のときに、大量のアルコールは望ましくありません。
なぜなら、大量のアルコールは直接的にヒトの免疫機能を抑制し、
アルコールの大量摂取が習慣化すると多くの感染症を引き起こすことも知られているからです。
では、日本人の多くが摂取する少量から中量のビールでは如何でしょうか。
勿論、体質、飲酒回数、性別など他の要因も多く係わりますが、
中程度までのビールでは免疫力には良い効果を与え、
長期的にみても罹患率が低くなる傾向があることが報告されています
(例えば、Br J Nut (2007) 98(1), S111-S116)。
ちょっと安心できる研究結果ですね。
但し、繰り返しますが、夏のスポーツは身体を弱めています。
直後のアルコールはほどほどに。
1961年福岡県生まれ。理学博士、医学博士。平成22年度文部科学大臣表彰され、わかりやすい解説に定評があり雑誌・テレビ出演も多い。