血液中の脂肪が再び脚光を浴びています。
昔から中性脂肪や悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が心臓や血管に悪影響を及ぼすことはよく知られていましたが、近年では、逆に脂肪を改善すれば、糖尿病や認知症などに効果が見られることが報告されるようになりました。ナッツ全般(クルミ、ピスタチオ、マカデミアナッツ、ピーカンナッツ、カシューナッツ、アーモンド、ヘーゼルナッツ、ブラジルナッツ)の血中脂質に対する影響が61の論文について調べられました(Am J Clin Nutr (2015) 102(6), 1347-1356)。
対象となったのは2,582名で、標準ナッツ摂取量は1日28.4g(ちょうど片手いっぱいのナッツですね)で被験者は3〜26週間摂取してその効果を判定しました。その結果、血中脂肪として高いと問題となる総コレステロール(5.3%)、悪玉コレステロール(5.5%)、中性脂肪(3.8%)などが減少しました(カッコ内の数字は減少割合)。
なお、1日に摂る量を約2倍の60gにするとこの効果は非常に大きくなりました。ここで気になるのが、ナッツの中のどれが一番有効だろうということですが、この研究では、ナッツの種類に大きな差はなく、それよりも摂取量を大きくする方が効果的だと分かりました。そして、このたくさんのナッツを摂った群については、糖尿病の人に効果が大きいことも明らかになっています。
もちろん、これらナッツの摂取を運動と組み合わせると効果は飛躍的に伸長します。これから少しずつ暖かくなってきます。ナッツを食べながら散歩をして見ませんか。
1961年福岡県生まれ。理学博士、医学博士。平成22年度文部科学大臣表彰され、わかりやすい解説に定評があり雑誌・テレビ出演も多い。