今、イスラエルでこの原稿を書いています。ナッツの本場です。
アーモンドやピスタチオなどは古代からこの地域で栽培されています。
どの料理を食べても必ずナッツが入っています。また、ここイスラエルでもベジタリアン(菜食主義者)やビーガン(絶対菜食主義者)が急激に増えていることから、食事に油脂感を出すためにナッツが多用されています。
さて、日本では本格的な冬を迎えました。
ナッツ消費の季節変動は国によって異なるようですが、一般的に冬に消費が増えるようです。
オランダのロッテルダム研究では9701人の中高年について調査が行われました
(Eur J Nutr 2019 Feb 8. doi: 10.1007/s00394-019-01918-5)。
その結果、ナッツの消費は1月がピークで、季節変動値は1日あたり0.78 gでした。さて、冬は人間だけでなく、動物も冬は食料を溜め込むためにナッツをたくさん採ります。
北米で最も多いリスであるキツネリス(ジブリ作品に出て来るキツネリスではありません)は貯蔵するナッツを選別します。
この行動は頭を素早く動かす動作(フリック)と足の操作で行います。
この選別行動が研究されました(PLoS One 2014 Mar 26;9(3):e92892)。
この研究によれば、ナッツの種類と季節的要因により適切な選別がなされているということです。
つまり、エネルギーが最も高いヘーゼルナッツが最優先に貯蔵に廻され、豆類とナッツ類を混在して置くと、確実に栄養価の高いナッツ類を貯蔵に廻し、豆類を弾くそうです。
しかし、これもナッツ類や豆類が少ない夏になると豆類も一緒に貯蔵するようになるそうです。
こうした研究をさらに進めていくと現在、多くが人間により行われている選別作業を自動化することに繋がるのかもしれませんね。
1961年福岡県生まれ。理学博士、医学博士。平成22年度文部科学大臣表彰され、わかりやすい解説に定評があり雑誌・テレビ出演も多い。