ここまでは比較的暖かい冬になっています。
冬は運動量も落ちますし、特にこの時期はまとまった食事の機会も増えます。
アメリカの統計ですが、クリスマス休暇中に平均0.8 kg体重が増加すると報告されています。
さて、ここに来て、再び食品の油(油脂)について注目が集まっています。
これまで、油というと心臓や血管の病気と関連づけて語られていましたが、近年では認知症や糖尿病などの発症や進展と関わりがあることが報告されています。
この1月に南東ヨーロッパのセルビアでのクルミにたくさん含まれるオメガ3であるアルファ(α)リノレン酸健康効果が報告されました(Nutrients 2020; 12(1) pii: E192)。
ちなみに、海のないセルビアは魚を食べる習慣が少ない国です。
そのため、国民のαリノレン酸の摂取量は低い状態が続いていました。
この研究では、352名のクルミ消費量と健康状態について調べました。
血液の中のαリノレン酸濃度が低い人たちに4週間クルミを食べて頂くと、血液中のαリノレン酸だけでなく、αリノレン酸から作られるエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)などが統計的有意に増加しました。
さらには、血液中のαリノレン酸が低い人ほど、身体の中でαリノレン酸からEPAに変換されやすいことがわかりました。普通は数%程度ですが、この研究では変換率は10%を超えました。
つまり、血液検査の脂肪の数値に不安がある人ほど、クルミの摂取は効果的なのです。
ただし、薬ではありませんので、最低でも1ヶ月程度の継続した摂取が必要になります。
1961年福岡県生まれ。理学博士、医学博士。平成22年度文部科学大臣表彰され、わかりやすい解説に定評があり雑誌・テレビ出演も多い。