世界的な新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行で、自宅等で過ごすことが増えて、運動不足やストレス過多に陥りやすくなっています。
これら生活因子は高脂血症の憎悪に繋がります。
高脂血症は空腹時採血で、中性脂肪が150 mg/dLを超えたり、総コレステロールが220 mg/dLを超える場合です。
これら高脂血症に対するアーモンドオイルの効果に関する研究が発表されました(Complement Ther Med 2019; 42:33-36)。
この研究では、97人の高脂血症患者をアーモンドオイル群(n = 49)と無摂取群(n = 48)に分け、アーモンドオイル群には、30日間毎日2回、10mlを摂取してもらいました。
その結果、総コレステロールと悪玉コレステロールの値は、アーモンドオイル群で統計的有意に減少しました(治療差= -16.12±26.16、治療差= -20.88±18.4、それぞれp <0.001)。
このアーモンドオイルは”オイル”として摂取することも可能ですが、
アーモンド粒をそのまま食べることによっても摂ることができます。
そして、このアーモンドオイルとアーモンド粒の摂取による効果の違いについての研究もなされています
(Am J Clin Nutr 2008; 88(4):922-9)。
この研究では20名の男性に、脂肪相当として1日に54gとなるように、アーモンドオイルとアーモンド粒を摂ってもらいました。
その結果、血中中性脂肪の上がり方は、アーモンド粒の方が低く、血糖値の上がり方は、
アーモンドオイルの方が低い結果となりました。
アーモンドオイルは、その主成分のオレイン酸に注目が集まっていましたが、
今後は、アーモンドオイルそのものに注目が集まりそうです。
1961年福岡県生まれ。理学博士、医学博士。平成22年度文部科学大臣表彰され、わかりやすい解説に定評があり雑誌・テレビ出演も多い。