ドライフルーツは食物繊維が多く、ヘルシーで日持ちしやすいことが特徴です。健康と美容を意識する方のおやつとしてはもちろん、お菓子作りの材料としても親しまれています。スーパーやコンビニでも手軽に購入できますが、砂糖や添加物不使用のドライフルーツを食べたいという場合は、自家製ドライフルーツにチャレンジするのも一案です。
当記事では、自家製ドライフルーツのメリットから向いている果物、作り方、保存・活用方法、注意点まで詳しく紹介します。
目次
そもそもドライフルーツとは、果物を乾燥させた食品のことです。果物の水分を飛ばすことから、保存性に優れるだけでなく生の果物とは異なる食感・風味を楽しめます。市販のドライフルーツは砂糖の多さが気になるという方は、自宅で自分好みのドライフルーツを作ってみてはいかがでしょうか。
自家製ドライフルーツを作ることには、環境面や子どもの教育面においてもメリットがあります。まずは、自家製ドライフルーツのメリットを説明します。
果物にはもともと果糖が含まれていますが、市販のドライフルーツの中には長期保存や色調保持、甘味を引き立たせるために白砂糖などの砂糖を加えた商品もあります。しかし、ダイエット中など砂糖の摂取を控えたい場合は、市販品に含まれる白砂糖が気になる場合もあるでしょう。
砂糖を使わずに自然な甘さを楽しむようにすれば、ヘルシーで太りにくい自家製ドライフルーツを作ることができます。また、原材料として使う果物の種類にもこだわり、自分の好みに合わせたオリジナルのドライフルーツを楽しめる点も魅力です。原材料にこだわった自家製ドライフルーツは、ダイエット中の間食としてはもちろん、子どものおやつとしても活躍するでしょう。
新鮮な果物には水分が豊富に含まれています。そのみずみずしさが果物ならではの魅力とも言えますが、生の果物は傷みやすく長く保存できないというデメリットもあります。たとえば、いちごとバナナの保存期間の目安は下記の通りです。
いちご(※1) | 7~10日 |
---|---|
バナナ(※2) | 10日 |
出典※1:農研機構「野菜の最適貯蔵条件」
出典※2:農林水産省「知っているようで知らない「食育の話」」
果物を乾燥させて作るドライフルーツは、傷みやすさの原因となる水分を飛ばすため、保存期間を大きく伸ばせます。また、素材から水分が抜ける分かさも減るため、生の果物よりも省スペースで保存できます。
スーパーや百貨店、青果店では、品質・味・形ともに一定の基準をクリアした規格品の果物が販売されます。「品質や味に変わりはないものの形が悪い」という果物は規格外品として商品棚に並べられず、その多くが問題なく食べられるのに廃棄されているのが現状です。
日本では年間約472万トンのフードロス(食品ロス)があると言われています。
自家製ドライフルーツを作る際は、果物を一口サイズにカットするので、果物の形に強くこだわる必要はありません。規格外品とみなされた果物を自家製ドライフルーツに活用すれば、フードロス削減に貢献できます。規格外品は、道の駅や直売所のほか、通販サイト、一部のスーパーなどで販売されています。
食育は、生きる上での基本であって、知育・徳育・体育の基礎と位置付けられるとともに、様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践できる人間を育てるものです。
引用:政府広報オンライン「「食べる力」=「生きる力」を育む 食育 実践の環(わ)を広げよう」/引用日2024/10/11
食育にはさまざまな手法がありますが、「台所育児」は自宅で実践しやすい食育の1つと言えるでしょう。台所育児とは、90年代に料理研究家の坂本廣子さんが提唱した、親と子どもが一緒に台所に立って調理に参加する食育方法です。子どもに料理の基本的なやり方を身に付けさせることで生活力を養えるほか、調理の成功体験によって自己肯定感を育めたり、食べ物の好き嫌いを克服できたり、親子の絆が深まったりするというメリットも期待できます。
また、ドライフルーツ作りには火を使いません。そのため、台所育児に初めてチャレンジする方にもぴったりのメニューと言えるでしょう。
「水分が少ない」「水分が抜けても風味・香りが残る、または向上する」などの特徴を持つ果物はドライフルーツに向いています。たとえば、下記の種類が挙げられます。
上記の果物は水分が多すぎず、スーパーやコンビニなどで比較的手に入りやすく、扱いやすいサイズです。さらに、乾燥することで酸味が抜けて風味が凝縮されるのでおすすめです。
反対に、果実のみずみずしさを楽しむスイカや梨、酸味が強すぎるレモンやグレープフルーツは、ドライフルーツにするにはあまり適していません。乾燥させたときの食感や風味が乏しくなりやすいのが理由です。
自家製ドライフルーツにチャレンジする際は、まず下記の道具を揃えておきましょう。
これらは、下準備を行う際に最低限必要となる道具です。乾燥のさせ方によっては、干物用ネットや電子レンジ、オーブン、フードドライヤーが必要となるため、あらかじめどの方法で乾燥させるかも決めておきましょう。
ここからは、自家製ドライフルーツの作り方を3つのステップで分かりやすく解説します。
ドライフルーツにアレンジしたい果物を用意したら、まずはその果物をしっかりと洗いましょう。このとき、果物によって洗い方がやや異なることに注意が必要です。たとえば、りんごや柿は下記の洗い方を実践すると、皮に付着した汚れを落とすことができます。
りんごの洗い方 | 皮のまま流水で30秒以上しっかり洗う |
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柿の洗い方 | 50度程度のお湯に2分ほど浸してから水洗いする または 食用の重曹を溶かした水に3~5分ほど浸してから水洗いする |
また、汚れが溜まりやすいヘタの部分をしっかりと洗うこと、表面の汚れが気になる場合は柔らかいスポンジで優しく洗うこともポイントです。
果物を洗い終わったら、皮を剥いて食べやすいサイズにカット・スライスします。果物によっては皮をしっかり洗えば食べられるものもありますが、ドライフルーツにすると水分が抜けて硬くなりやすいため、柔らかい食感を求める場合は皮を剥くのがおすすめです。果物の皮や実・果肉の硬さによって、ピーラーや包丁、スライサーを使い分けましょう。
また、果物にはヘタや芯・種があります。ドライフルーツとして食べる部分をカット・スライスする前に取り除いておきましょう。ヘタや種を取り除いた後、果物をどれくらいの厚さ・大きさにカットするかは好みに応じて決めて構いませんが、薄いほうが乾燥時間は短くなります。また、果物はなるべく均一に切りましょう。
りんご・いちご・バナナの切り方は、下記の通りです。
りんご |
【スライサーでスライスする場合】
【包丁でカットする場合】
|
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いちご |
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バナナ |
|
果物をカット・スライスした後は、乾燥のステップに入ります。このとき、乾燥時間を縮めるためにキッチンペーパーであらかじめ余分な水分を吸い取っておくことがポイントです。また、ドライフルーツ作りにおける乾燥方法には、自然乾燥・電子レンジ・オーブン・フードドライヤーの4つがあります。下記に、それぞれの具体的な乾燥方法を紹介します。
●自然乾燥(天日干し)
カットした果物を、風通しがよく直射日光の当たる場所に置いておく方法です。
【必要な道具】
ザル・ヒモ・干物用ネットのいずれか
【乾燥の仕方】
場所によっては害虫被害を受けたり外気の汚れが付着したりする可能性があるため、できる限り衛生状態を保てる場所を選ぶことが大切です。
●電子レンジ
電子レンジは多くの家庭にある調理機器で、実践しやすい方法です。自然乾燥ほど時間がかからず、天候に左右されることもありません。
【必要な道具】
キッチンペーパー・クッキングシート
【乾燥の仕方】
トータルの時間は自然乾燥よりも短く済む一方で、細かい作業を繰り返すため手間がかかります。焦げてしまう可能性もあるため、十分に注意しながら進めましょう。
●オーブン
オーブンは、電子レンジと同様に自然乾燥より早く乾燥します。しかし、電子レンジと比べると手間をかけずにドライフルーツを作ることが可能です。
【必要な道具】
クッキングシート
【乾燥の仕方】
オーブンの機種や果物の状態によっても、乾燥時間は異なります。焼き色が付きそうな場合は、アルミホイルを果物の上に被せるようにしましょう。
●フードドライヤー
フードドライヤーとは、温風によって食品を乾燥させる調理機器です。食品乾燥機とも呼ばれ、簡単にドライフルーツを作れます。
【必要な道具】
なし(フードドライヤーのみでOK)
【乾燥の仕方】
フードドライヤーは、ドライフルーツのほかにも野菜チップスやビーフジャーキーなど、さまざまな乾物を作れます。
でき上がった自家製ドライフルーツをできる限り長く楽しむためには、湿気と酸化から守って保存することが大切です。チャック付きのポリ袋や真空タッパーなどの密閉袋・容器にドライフルーツと乾燥材・脱酸素剤を入れ、可能な限り空気を抜いて封をし、冷蔵庫に入れて保管します。
市販のドライフルーツの多くは賞味期限を「製造日から3か月~1年」と設定していますが、砂糖不使用・添加物不使用の手作りドライフルーツは賞味期限が短くなります。自家製ドライフルーツを安心・安全においしく食べるために、完成後はなるべく早く食べきるようにしましょう。
自家製ドライフルーツは、そのまま食べるのはもちろん、ほかの食材と合わせて食べるのもおすすめです。下記では、自家製ドライフルーツをさらにおいしく楽しむアレンジレシピを紹介します。
●ヨーグルトに入れる
やや酸味のあるヨーグルトと、風味が凝縮されたドライフルーツの相性は抜群です。ヨーグルトにドライフルーツを一晩漬け込むと、ドライフルーツがヨーグルトの水分を吸い、みずみずしさがアップします。事前に仕込んでおけば、朝は器に盛り付けるだけなので、手軽においしい一品が完成します。
●サラダやグラノーラのトッピングにする
ドライフルーツを細かくカットすれば、サラダやグラノーラのトッピングにもなります。いつものサラダやグラノーラに飽きたときは、カットしたドライフルーツをトッピングし、果物ならではの甘味や風味をプラスしましょう。サラダには、ドライフルーツと一緒にナッツも合わせることで、ドライフルーツの自然な甘みとナッツのコク、カリッとした食感をバランスよく楽しむことができます。
●紅茶に入れる
紅茶に入れる際も、ドライフルーツは小さくカットしましょう。ティーバッグを使う場合は、カップにティーバッグとドライフルーツを入れてお湯を注ぐだけです。茶葉を使う場合は、先にティーポットなどで紅茶を作ってから、ドライフルーツを入れたカップに紅茶を注ぎ、5分ほど蒸らしてください。果物の甘味や酸味は、紅茶にも合います。
●バターやクリームチーズに練り込む
バターやクリームチーズを常温に戻し、粗みじん切りにしたドライフルーツを練り込み、ラップに包んでから棒状に伸ばして冷蔵庫で数時間冷やし固めましょう。そうすると、トースト・クラッカーのトッピングやお酒のおつまみにもなる一品が完成です。
●お菓子の生地に練り込む
パウンドケーキやチョコレートなどの洋菓子、ようかんなどの和菓子にドライフルーツを練り込むのもおすすめです。フルーツの甘味が加わるほか、見た目も華やかになります。ドライフルーツを生地に練り込むだけで、まるでプロが作ったような本格的なお菓子を味わえるでしょう。
ドライフルーツは特別な道具がなくても自宅で比較的簡単に作れますが、作る際の湿気・水気には特に注意しなければなりません。フードドライヤー以外の作り方ではどうしてもうまく乾燥しなかったり、ムラができたりする可能性があります。完成するまでにカビが生えたり、果物が傷んだりするケースも少なくありません。
そのため、自然乾燥でドライフルーツを手作りする際は夏よりも湿度が低い冬のほうが向いています。しかし、気温が低いため乾燥時間が長くなることは念頭に置いておきましょう。また、電子レンジやオーブンでドライフルーツを作る場合は、加熱ムラが起こらないように注意する必要があります。
自家製ドライフルーツの作り方は「果物を洗う→カット・スライスする→乾燥させる」という流れが基本です。りんごやバナナなど、身近な果物を使ってドライフルーツにすることができます。
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