今回は、ナッツに直接関係しませんが、読者から頂きました質問についてお答えしたいと思います。
今回は「酵素阻害物質」についてです。
酵素とは、細胞で作り出されるもので、身体の中の働きを円滑に進めるタンパク質です。
この酵素がないとヒトは生きていけません。
酵素は現在、約3000種類が知られており、国際的には大きく6つに分類されています。
この酵素は基本的に自らの身体で作り出される必要があり、食物として酵素を摂ってもその効果はかなり限定的になります。
この酵素の働きを助けるものが「補因子」と呼ばれるミネラルであったり、37℃の最適な温度であったりします。
逆に、酵素の働きを妨げるものが「酵素阻害物質」です。
「酵素阻害物質」というのは天然にも存在しますが、多くは人間が作り出して薬として使われています。
高血圧の薬だったり、高脂血症の薬だったり、抗生物質だったりします。
しかし、今回のご質問では食品中の「酵素阻害物質」のことをお尋ねかと思います。
食品の中に「酵素阻害物質」は存在します。しかし、それが実際に身体に影響を与えるかどうかは別の話です。
例えば、試験管の中で酵素の働きを悪くする塩(しお)ですが、
これは身体の中に入ってしまうと身体が調整能力を発揮して薄めてしまいますので、
酵素の働きを悪くしません。
そうです。
酵素阻害と言っても、試験管の中での話と身体の中の話を一緒には出来ないのです。
熱を加えると「酵素阻害物質」はなくなりますかとの質問もありましたが、これも一概には言えません。
熱を加えることで「酵素阻害物質」が出来ることもあるからです。
何れにせよ、極端な食事でない限り、食品による酵素の阻害については心配する必要はありません。
1961年福岡県生まれ。理学博士、医学博士。平成22年度文部科学大臣表彰され、わかりやすい解説に定評があり雑誌・テレビ出演も多い。