栁川かおり
医師/料理家
私の住むあたりは、毎年急に暑くなるのが6月。
梅雨のイメージだけれど、このあたりは雨よりも晴れの日が続くことも多くて、急に暑さを感じる時。気温の変化も激しくて、下手をするともう夏バテ気分になってしまうことも。
そんなこともあって。毎年そろそろ食べ始めるそうめん。
そうめんでいつも悩むのが“おとも”。夕ご飯だとおかずもちょこちょこ用意はするけれど、それがお昼ごはんになると、ついそうめんだけになりがち。
特に我が家の息子。そうめんに限らず、うどんもそばも、麺は麺だけで食べるのが一番好きらしく、具をのせるのを嫌がるから更に困りもの。そんな風に“麺だけ“で食べていたら、なおさら夏バテまっしぐらなのです。
そこでふと思いつく。
そうだ! 具がいやなら、“つゆ“を工夫するのはどうだろう。
めんつゆに少し手を加えるのなら気軽に作れる。すぐ思いつくのは胡麻。でも、ちょっと待った。もっとたくさん入れられて、栄養価も高くするにはクルミもある!
そうめんとクルミ。一見ミスマッチに見えるこの2つだけれど、もともと“和クルミ”もあるのだから、和食にはクルミを使う料理もたくさんある。ご飯のおともにクルミ味噌、野菜を和えたクルミ和え、甘辛く煮たクルミを入れた太巻き、祖母の作るクルミ入りの五目おこわも好きだった。
私の住むあたりはクルミを使った郷土料理も多くて小さい頃から馴染みがあるせいか、ナッツの中では一番和食にも合わせやすいのがクルミなのです。
まずはクルミを麺棒で細かく叩く。すり鉢代わりに厚手のビニール袋に入れて叩くのだけど、クルミのパッケージ袋に少し空気穴をあけたらそのまま叩けた! これは意外と便利な新発見。
あとはめんつゆにお味噌と練りごまをほんの少し隠し味程度に混ぜたら、砕いたクルミをたっぷりと。この小さなパックなら、1人で1袋入れてちょうどいいくらい。
クルミのつぶつぶが残るくらいの粗く叩いた感じも美味しくて。いつもと違うコクのあるそうめんつゆが簡単に出来上がり。
これなら”麺だけ”の息子にもちょっと安心なお昼ごはん。夏バテ対策にもぴったりですね。
2児のママ。出産を機に2011年より料理ブログを開始。シンプルな料理をより美味しく!をモットーに、まいにち食べても飽きないような「おうちごはん」を目指す。2012年日本テレビ系「ヒルナンデス!」内の史上最大の家庭料理コンテスト「レシピの女王シーズン2」にて優勝し、初のレシピ本を出版。
和食料理人である父の影響により、幼少から実家店舗で料理の基礎を学び、現在も料理家の仕事と両立して和食料理店に立ち腕をふるう。食に関する9つの資格を有しており、企業のレシピ開発やTVなどのメディアでも活躍中。トライアスロンの国内大会では年代別優勝するほどの実力で「食✕スポーツ」の普及活動も精力的に行っている。